ねりものといえばはんぺん

はんぺんあいしてる

欲のせめぎ合い

食欲、睡眠欲、性欲。この3つを戦わせたらどれが優勝するだろうか。

一般的に性欲が優勝するケースはあまりなさそうな気がする。羞恥心を完全に捨て去っても性欲がトップの座を射止めることは多分ない。ここであえて性欲が一番大事!って言いたい気持ちもなくはないけど、どうしても眠気には勝てない。

食欲と睡眠欲との間で激しいせめぎ合いが繰り広げられることが多いはず。お腹がすくと眠れない人もいるだろうし、眠くなると他のことは何も考えられない人もいる。自分は眠気を前にするとなすすべがなく睡眠欲がダントツでトップだ。

この3つでどれが一番か統計を取ったら面白そうだね。

天然の話

「ねえ、ちょっと聞いてよ〜」
「あれ、なんかプンスカしてるね」
「そ〜だよ、あたしプンスカしてるの!」
「で、どうしたの?」
「みんな、あたしのこと天然って馬鹿にするの〜」
「そうなんだ」
「ねえ、ひどくな〜い?」
「なにが?」
「あたしのどこが天然なのよお!」
「えっ?」
「ん?」
「まさか、自覚症状ないの?」
「え〜、あなたまでそういうこと言うの〜?」
「困ったな・・・」
「あたし超普通なのに一体なんなの〜」
「あのね、ちょっと聞いてくれる?」
「なあに?」
「世の中には二種類の天然がいるんだよ」
「うん」
「ひとつは『エセ天然』って言ってね」
「うん」
「男受けを狙って天然を演じるタイプのこと」
「あ〜、そういう女いるね〜」
「で、もうひとつがガチの『天然』」
「うん」
「これの一番の特徴は、自分が天然ではないと信じてること」
「・・・」
「たいていの場合、天然って言われると怒り出すんだよね」
「あたしじゃん!」
「つまりそういうことだよ」
「じゃあ、あたしもう天然でいいっ!」
「あ〜、やっぱり天然だったんだ、これで一件落着だね!」
「!」

二宮金次郎の話

「最近なんか忙しそうですね」
「うん、毎日遅くまで残業してる」
「大変ですね」
「ホント冗談抜きで大変だよ」
「ねこになりたい夢は叶いそうですか?」
「とりあえず来世の話になる見込み」
「ねこみたいに毎日ゴロゴロしたいですよね」
「ゴロゴロしたいよ~」
「全力で怠けたいって言ってましたもんね」
「一生懸命怠けたいよ・・・」
「将来の夢はニートでしたっけ?」
「そう、ニート
「結構しっかりした経済的基盤が必要ですね」
「他人を当てにしないでニートになりたい」
「ひとやま当てて財産作らなきゃですね」
「その夢を叶えるために今は割り切って仕事してるよ」
二宮金次郎並みに頑張ってください!」
二宮金次郎?」
「大好きな薪拾いの合間に勉強した人です」
「うん、それ多分逆だと思うよ」
「薪拾いが好きで好きで、その合間に仕方なく勉強したんですよ?」
「悪いけど、それ絶対違うと思う・・・」
「学校とかに銅像がありますよね」
「薪を背負いながら本読んでるやつ?」
「結局、二宮金次郎って何者なんですか?」
「えっ?」
「あたしはずっと薪拾いの達人だと思ってました」
「まあ、ある意味そうなんだろうけど・・・」
「薪拾いを泣く泣く諦めて学問の道に進んだんです!」
「だから、それは絶対に違うと思うよ」
「寝ても覚めても薪のことばかり考えていたんです」
「そうなの?」
「だから銅像はどれも薪を背負ってるんです」
「そっか」
「本を読むのはついでだったんです」
「あのさ、二宮金次郎に何か恨みでもあんの?」

ケモノの心を持ったヒト

イソップ寓話の中にこんな話がある。

ゼウスの指示でプロメテウスが人間と獣をつくっていた。ところが、あまりにも獣が多いことに気づいたゼウスが「獣をつぶして人間につくり直せ」と注文をつけたところプロメテウスはその通りにした。その結果、2種類の人間ができた。

そんなわけで同じ人間であっても中身が獣みたいな人が一定数いるんだって。だから理性や倫理観の欠如しているやばい人を見ても「あの人の材料はケモノ」って思えばそんなに腹も立たなくなる。最初からもうすでに別物なんだからね。

岩波文庫でこの話を読んだ時、イソップのブラックユーモアの切れ味に感銘を受けた。どんなに不愉快な人であっても捉え方次第でどうにでもなる。すべては受け手側の問題であって、たとえ同じものを見ても感じ方は人それぞれなんだね。

イソップ寓話集』面白いからぜひ読んでみてね。

イソップ寓話集 (岩波文庫)

イソップ寓話集 (岩波文庫)

 

ねこに生まれ変わる方法

「また今日も収穫なしだった」
「なにが?」
「ねこに生まれ変わる方法を検索してた」
「うそ、まだ分からないの?」
「なかなかこれっていうのがないんだよ」
ヤフー知恵袋で質問してみたら?」
「え?」
「何かヒントになるかもしれないし」
「ヤフー知恵遅れって言われてるし無理っぽいな」
「なにそれひどーい」
「それに誰も回答してくれない気がする」
「だったらあたしが回答してあげるよー」
「じゃ、書き込んでみようかな」
「今、ここで質問しなよー」
「いいんすか?」
「いいよー」
「それじゃお言葉に甘えて質問してみるか」
「どーぞ」
「ねこに生まれ変わるにはどうすればいいの?」
「まずそこのスタバに入りまーす」
「えっ」
「そして抹茶クリームフラペチーノを買いまーす」
「ごめん、意味が分からない」
「忘れずにカウンターでマカロンもね!」
「マカロン・・・」
「それをあたしにくれたら続き教えるから!」
「なんだそれ」
「ねこに生まれ変わる方法知りたいでしょ?」
「でも、なんかすごく騙されてる気がする」
「人聞き悪いこと言わないでよ」
「本当に教えてくれるのか?」
「いいから、とにかくスタバに入ろ?」
「絶対騙されてる気がする・・・」

なんとなくねこっぽいから

「ねえ、ねこさん」
「ん?」
「ねこさん!」
「いや、人間ですけど一応・・・」
「そうなの?」
「見て分からないなら結構やばいと思うよ」
「うそー、ほんとに人間なの?」
「むしろなぜねこだと思うんだよ」
「なんとなくねこっぽいから」
「どっからどう見ても人間のはずだけど」
「ねこなのに日本語話せるってすごいね!」
「あのさ、人間だって言ってるよね」
「絶対ねこだよ!」
「人間だっつーの」
「ねえ、どうして見え透いた嘘つくの?」
「そのままそっくりお返しするわそのセリフ」
「あたし嘘なんてついてない」
「だとしたら本格的にやばいと思うよ・・・」
「あ!そうだ!いいこと思いついた!」
「なんだよ」
「お魚くわえたサザエさん、追っかけーて♪」
「・・・」
「裸足でかけてく愉快なドラーネコ♪」
「あのさー、普通ねこってみんな裸足だろ?」
「え、つっこむところそこ?」
サザエさん魚くわえて何してんだよ」
「そんなのあたしに聞かれても困るよ」
「ドラネコはサザエさん追っかけてどうすんの?」
「知らないよー」
「・・・」
「みんなが笑ってるー、お魚も笑ってるー♪」
「こりゃ一度病院で診てもらった方がいいな」
「なにを?」
「頭の中とか」
「なんで?」
「あー、ごめんごめん何でもない」
「ルールルルルールルー、今日もいー天気♪」
「君と話してると頭おかしくなりそう」
「じゃあ病院で頭診てもらいなよー」
「ちなみに2番とかもあるのか?」
「あるよ!」
「あっそうなの・・・」
「万引きしようと街まで出かーけたーら♪」
「あ、もういいから」
「やっぱりあなたはねこだねー」
「なんでそうなるんだよ・・・」
「分かんないけどなんとなくそうかなー」
「・・・」

価値観という名の思い込み

人を属性で判断するタイプが苦手だ。性別や職業、学歴なんかは人間性を構成する要素のひとつでしかない。それなのに「女は感情的で頭が悪い」とか「ろくな学校出てないから仕事ができない」とか、思い込みにもほどがあると思う。

こういうことを平気で言う人と話をするのは時間の無駄になりかねない。最初からその前提でものを見ていれば、その理屈に当てはまることしか目に入ってこないし、自分の価値観に合うことしか受け入れないから会話も平行線のままだ。

価値観なんて言い換えれば偏見の結晶みたいなもので単なる色眼鏡でしかない。勝手に信じ込むのは構わないけれど、それを使って他者を裁くような人とは関わりたくないんだ。この手のタイプはモラハラが得意だったりする率も高いし。

自分の考えとは違うからこそ意味があるのにね。

分離から統合へ

シェイクスピアマクベス』の冒頭に、魔女3人が鍋をかきまぜながら「きれいはきたない、きたないはきれい」と口走る場面が出てくる。案外これこそが現実世界の本質を表しているのかもね。この世界にはいいも悪いもないんだから。

マクベス (光文社古典新訳文庫)

マクベス (光文社古典新訳文庫)

 

designpedia

佐藤可士和の『designpedia』の中に出てきたユニクロフォントのデザインがあまりにもシンプルで衝撃を受けた。グラフ用紙に円と線を書いて塗りつぶしただけだったとは。こういうフォントデザインの手法もあるのかと勉強になった。

デザインというものに対する彼の考えを知って、やはりコンセプトが一番大切なんだと改めて思った。コンセプトが明確になっていれば、その先のデザインに生きてくる。前から同じようなことを考えていたから本当に共感することばかり。

今つくづく思うのは、東大なんかじゃなくて藝大に入りたかったなって。高校生の時に音楽なんかやらないで絵を描くべきだった。ギターの才能なんてないのに音楽にうつつを抜かしすぎちゃって向いていないことに少し時間を使いすぎた。

そんなこと今さら言っても何の意味もないけれど、向いていることを見つけるのに時間をかけすぎたのはちょっと残念だったし、向いていないことにエネルギーを使いすぎたのは本当にもったいなかった。後悔するなと言われても無理だ。

でも、まだギリギリ間に合うと信じて努力しよう。

 

ポパイ特別編集 佐藤可士和 デザインぺディア (マガジンハウスムック)

ポパイ特別編集 佐藤可士和 デザインぺディア (マガジンハウスムック)

 

 

どこからでも切れます

「あのさあ」
「なに?」
「マジックカットって知ってる?」
「どこからでも切れますっていうやつだよね」
「そう」
「それがどうしたの?」
「あれ全然切れない時あるでしょ」
「たまにある」
「それでね、お母さんがね」
「うん」
「何かの袋が全然切れなくてね、昨日キレてたの」
「それなら書いてあるとおりじゃん」
「そうだよね」
「何て書いてあればベターなのかな」
「どこからでも切れる可能性があります、とか」
「それだったら嘘にならないね」
「それか、たまに切れない時もあります、とか」
「あえて欠点書いちゃうんだ?」
「正直、マジックカット自体が欠陥品だと思うの」
「そこまで言う?」
「だって、普通に切れ目入ってる方がよくない?」
「ああ、それは俺もずっと思ってた」
「タレの袋が変なところで開いちゃうと悲惨だし」
「確かにそれは大惨事だ」
「納豆のカラシとかならまだいいけど」
「汁っぽいので失敗すると大変だもんね」
「そうなの」
「めんどくさがらないでハサミ使えばいいのに」
「あたし、お母さんに同じこと言ったの」
「そしたら?」
「負けた気がするから使わないって」
「そこ意地張るところじゃないだろ」
「挙げ句の果てに袋のタレぶちまけちゃって」
「あーあ」
「激おこぷんぷん丸で大変だったの」
「タレの袋で君のお袋さんがキレちゃったのか」
「お母さん、その後ふて寝してた」
「面白いお母さんだね」